人の心はうつろいやすいのは人間の性か?
清少納言が、徒然草の26段の出だしに「風も吹きあへずうつろふ、人の心の花」にと、うつろいやすい人の心を綴っている。
「風も吹きあへずうつろふ、人の心の花に、馴れにし年月を思へば、あはれと聞きし言の葉ごとに忘れぬものから、我が世の外になりゆくならひこそ、亡き人の別れよりもまさりてかなしきものなれ。 されば、白き糸の染まんことを悲しび、路のちまたの分かれんことを歎く人もありけんかし。堀川院の百首の歌の中に、 昔見し妹が墻根は荒れにけりつばなまじりの菫のみして 、さびしきけしき、さる事侍りけん。」
大坂なおみが優勝した途端、誰もが親戚付き合い状態になり、安室奈美恵が今日の引退最後の公演に、いつも一番の大ファンだった状態に、今日この頃の報道に辟易する。
個人的な意見ですが、子供の頃からこういう大衆に迎合することが、大嫌いで、博多生まれながら山笠の季節に「のぼせもん」と自慢げに語る男たちに同調できないひねくれもんである。
大坂なおみが、これ以降勝ちがない選手になれば、人々の対応は潮が引いたように180度変化する状態になるだろう。
今、我が法人で働く精神保健福祉士たちは、その様な180度環境の中におられる障がいを持たれている方々とソシャルワーカーとして相対している。日々健闘を期待します。頑張りすぎずにフレフレ‼
時代は移り変わっても、人の心は悲しいですね。人の心はうつろいやすいことを詠った平安時代の古今和歌集の二つの歌を紹介しておきます。
実は、紀貫之は、大好きな歌人なんです。
紀貫之:「桜花 とく散りぬとも おもほへず人の心ぞ 風も吹きあへず」
小野小町:「色見えで うつろふものは 世の中の人の心の 花にぞありける」
古文なので現代語で解説しておきます。
【徒然草26段】
風も吹き荒れていないのに散ってゆく花のように、移り変わってゆく人の心、過去に親しんだ月日のことを思うと、しみじみと感動して聞いた一つ一つの言葉が忘れられない。
そんな大切な言葉を少しずつ忘れ去っていっていることは、亡くなった人との別れよりも悲しいものである。だから、白い糸が必ず汚れることを悲しみ、道が必ず分かれる事を 嘆いた人もいたのだろう。堀川院の選んだ百首の歌の中に、以下のようなものがある。
昔見し 妹が墻根は 荒れにけり つばなまじりの 菫のみして
この和歌の意味は、
「昔の彼女の家の垣根がすっかり荒れ果てていた、 茅草の中にすみれの花ばかりが咲いている」
というものである。この歌に詠まれた寂しい景色に、しみじみとした思いを寄せる。
【紀貫之】
桜は風に誘われて散ってしまうものだけど、人の心という花は、風が吹かなくても散ってしまうじゃないか。
【小野小町】
花の色はその色があせていくのが見えるけど、人の心の花は、気づかないうちに色あせ、やがて失われるもの。